368677 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

日替わりコメント写真集

日替わりコメント写真集

「じゅぽんのつぶやき」『四話』

「大人の童話」「じゅぽんのつぶやき」
jupon-4


第四話

前回までのあらすじ

「じゅぽん」という、小狸がつぶやく、一家と「樹囁庵」の物語。

 じっちゃんは、人間の車に轢かれて、右足に大怪我を負い不自由な生活と年の所為で、次第に体が弱ってきた。親父は、最後の親孝行とばかりに、無理を承知で、じっちゃんとばっちゃんの思い出深い出会いの場所、「クリノキサコ」に案内する。ところが、じっちゃんは、不自由な体で無理をしたので、とうとうその晩は、「桂ケ森」に帰ることすらできなくなった。クリノキサコの「樹囁庵」の近くの小屋の床下で、翌日、みんなの助けを待つために、一晩、そこに泊まることになった。

第四話

じっちゃんは、西に傾く半月を眺め、づっきん、づっきん痛む足をさすりながら、昔の思い出に耽っていたようだ。

 じっちゃんの若い頃は、大した暴れん坊だったそうです。「桂ケ森」では、ちょっと名が通っていたようで、「桂のサブ」といえば、周辺の「皿木」「明神」、遠くは、二名の「由良野」まで、その名を知らぬ者は居なかったようでした。

もう随分昔のことですが・・・・。この話は、親父が酒を飲んでご機嫌の夜、ボクに話してくれたことなんです。

じっちゃんがまだ暴れまわっていたころ、ある日「明神」の長老が突然訪ねてきたそうです。
そして、じっちゃんに
「のう、サブロウ。困ったことが起きたんじゃー。助けてくれんかいのー」と、深刻な顔して相談を持ちかけたそうです。その訳というのは、「明神」という地名からして、そこには、「狐」の一群が勢力を持っていて、いつも我々狸の一族といざこざを繰り返していたのでした。
 長老は、その四五日前に、小狐が小狸を苛めたので仲間で仕返ししたら、小狐にちょっとした怪我をさせてしまった、親狸が謝りに、手土産持って、出かけたが、どうしても許さんということで、「どうしても許してほしかったら「駄場」から出ていけ」と狐が言うのだと、本当に困った様子だったようです。
「駄場」は、獲物が豊富にあり、「明神」の一番大切な場所なのです。何家族もが巣を作り、平和な毎日を過ごしてる所です。
 「それは、無茶じゃ。そいで、出ていかんと言えば、どうしょうというんじゃ」サブこと、じっちゃんは長老に尋ねた。「それがのー、無体な話よ。小狸を一匹づつ、殺すと言うんじゃわい」長老は憔悴しきって首をうなだれた。
「仕方あるまい、向こうが争いを望むのなら、ここは、一ちょやっちゃらんといかんわい」
「そうか!サブもそう思うか。わしも、奴らのいいなりには、なれんと思うとった、そうか、そうか」と長老の顔が急に気色ばんだ。「ほで、サブロウ、助っ人してくれるんじゃろのー」
「分かっとろーが、当たりまえじゃー」と、じっちゃんは、胸を叩いたそうです。
「皿木にも、応援頼もうかいのー」さらに長老は心配してそう言ったといいます。
「なーに、桂の連中と、明神とで、十分よ、任しておけ」と、言うじっちゃんの言葉に安心したように、喜んで長老は帰って行ったようでした。
さて、これからが大変だったようです、サブロウ(じっちゃん)は、仲間を集めて作戦会議。風雲急を告げるとは、こんな時に使う言葉でしたね。

で、この続きは、第五話でつぶやくことにいたします。





next Next back Back






© Rakuten Group, Inc.